ドイツにおける保証実務と庇護宣言
法律用語集

ドイツにおける保証実務と庇護宣言

読み方
どいつにおけるほしょうじつむとひごせんげん
業務分野

ドイツ法準拠の契約で人的保証が付される場合がある。わが国における保証実務では連帯保証がよく用いられているが、ドイツにおける保証実務は日本とはかなり様相が異なる。この落差は債権法の多くの概念がドイツ法に由来するという先入主からは意外な程の大きさだ。
まず、強力な人的保証が求められる場合は、判例法で発展してきたガランティーGarantieが多用される。ガランティーは附従性が否定される(その意味で一種の損害担保契約と言える)点で連帯保証より強力だ。ガランティーは言葉だけみれば(保証の英語への定訳である)ギャランティーguaranteeと似ているが、附従性のある方の民法上の保証はBürgschaftという全く別の用語が用いられるのでややこしい。ここは英語で交渉すると間違い易い典型的な局面であり、後日の紛争を避けるためには括弧書きで原語を付記することが強く望まれる。
次に、比較的ゆるやかな人的保証が企図されている場合に多用されるのがPatronatserklärung(直訳すればパトロン宣言、「庇護宣言」「庇護証明」と訳される場合が多い)。これも判例法で発展したもので、(債権者に直接支払うとするのではなく)主たる債務者を経済的に庇護すると宣言するものが多く、コンセプトとしては日本の経営指導念書やアメリカのkeep-well agreementに近い。その内容は合意内容次第で法的拘束力のある「硬い」もの(いわゆるharte Patronatserklärung)から紳士協定的な「柔らかい」もの(いわゆるweiche Patronatserklärung)まで実にさまざまで、ケースバイケースの吟味が肝要だ。
ガランティー・庇護宣言(特に「硬い」型の場合)を問わず、無限定でなされることはまずなく、金額・期間・取引の種類等を限定してなされるのが一般的だ。

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