詐害的会社分割
法律用語集

詐害的会社分割

読み方
さがいてきかいしゃぶんかつ
業務分野

債務超過に陥った会社が、会社法上債権者保護手続を要求されない形式で、金融機関等の主要債権者に対する債務を分割会社に残す一方、重要な事業(優良部門)や重要な資産を新設(承継)会社に移転させる会社分割を実施した場合、分割会社に残される債権者は、十分な説明・協議の機会や会社分割に対する異議申立ての機会を与えられないまま、分割会社に対する債権の弁済をほとんど受けられない結果となることが想定される。近時、このような会社分割を濫用した事業再建手法が「詐害的(濫用的)会社分割」として問題視されており、裁判上も、当該会社分割について、分割会社に残された債権者による民法上の詐害行為取消権の行使や分割会社の破産管財人による破産法上の否認権の行使を認める例が続出している。
このような状況を踏まえ、平成23年12月に法務省から発表された「会社法制の見直しに関する中間試案」は、詐害的会社分割が行われた場合に、分割会社に残された債権者が、新設(承継)会社に対し、その承継した財産の価額の範囲で、分割会社に残された債務の履行を請求できる旨の規定を新設することを提案している。

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