バイヤーズ・クレジット(Buyer’s Credit)
- 読み方
- ばいやーずくれじっと
- 業務分野
プラント等の輸出において、しばしば採用される金融手法。海外へプラントを輸出する場合、設備を製造し現地で据付工事を行い納入するまで長期間を要する。そこで、輸出企業が早期に代金を回収し下請業者への支払等を可能にするために、金融機関において輸出先に対して行う貸付。一旦輸出先国の銀行へ貸付を行い、輸出先国の銀行から輸出先へ転貸する方式を取ることもあり、その場合はバンク・ローン(Bank Loan)と呼ばれている。
我が国では国際協力銀行(Japan Bank of International Cooperation; JBIC)が、メガバンク等の市中銀行と共に、協調融資の形式で行っているバイヤーズ・クレジット・ローンによる融資が一般的に用いられている。非常危険(political risk)や輸出先の信用危険(credit risk)の発生によるローンのディフォルト(債務不履行)に備えて、輸出企業はしばしば金融機関に対する保証の差入を求められるが、国際協力銀行によるバイヤーズ・クレジット・ローンの場合、非常危険の発生によるディフォルト発生時のディフォルト・リスクを、国際協力銀行に負担させることが可能である。その場合、リスクの切り分けおよびリスク負担の方法をめぐり契約書の内容は複雑なものになることが多い。
また、市中銀行による貸付については、独立行政法人日本貿易保険(Nippon Export and Investment Insurance; NEXI)において、貿易代金貸付保険による非常危険および信用危険の付保を行っているが、保険契約において非常危険のみの付保を選択することも可能である。日本貿易保険の貿易代金貸付保険を利用する場合でも、個別案件ごとにリスクの切り分けについて特約を結んでいることが多く、内容は複雑なものになる。