今世紀に入り急速な経済成長を遂げ、今や世界第2の経済大国となった中国は、海外事業を展開する日本企業にとって最も重要な市場の一つとなりました。一方、経済規模の拡大と社会の高度化に伴い、企業活動を取り巻く法的環境も複雑かつ高度化し、企業のコンプライアンスに対する国民や政府当局の視線も益々厳しくなってきています。近年では経済安全保障面でのリスクの拡大や、個人情報などの情報安全に関する規制強化といった新たな場面も登場し、中国事業に関するリーガルサービスについても、現地の法律や社会の最新情報を踏まえたより高度なものが求められるようになってきています。
シティユーワ法律事務所は、中国法務に関して長年の経験と実績を有する曾我法律事務所と2023年1月に経営統合し、曾我法律事務所に所属していたメンバーを中心に専門の中国業務チームを設置することにより、日本企業の中国事業に関するリーガルサービスの提供体制を大幅に強化いたしました。中国業務チームに所属する弁護士はいずれも中国語が堪能であり、中国法務に関する高度な専門性を有し、中国事業に関連するあらゆる法分野に関し、企業の多種多様なニーズに応じて、豊富な知識・経験やノウハウに基づく実践的なアドバイスや解決策をご提案いたします。また、中国業務チームは、中国メインランド及び香港、台湾の実績ある法律事務所と緊密な提携関係を有しており、現地における各種の手続や紛争解決にご対応することができます。中国における主な法分野と中国業務チームの取扱業務の例は以下のとおりです(いずれも日本語及び中国語での対応が可能です)。
(1)対中投資
2020年1月1日に「外商投資法」が施行され、法令適用における内外資の格差解消が大きく進展しました。また、外資の参入を禁止又は制限する業種を列挙した「外商投資ネガティブリスト」の対象業種も年々減少し、外資の開放が進んできています。
<取扱業務の例>
- 現地法人設立、M&A、組織再編、解散、清算、持分売却等に関するサポート
- 投資先のデューディリジェンス調査
(2)会社法分野
会社法の改正や司法解釈の制定を通じ、以前と比較すれば定款自治が認められる範囲が広くなってきています。上記の「外商投資法」の施行により、外資が含まれる合弁企業に対しても会社法が直接適用されることとなり、会社法制上の内外資格差も解消されています。
<取扱業務の例>
- 合弁契約、定款、各種規程といった会社に関する各種書面の作成のサポート
- 会社組織に関する法的トラブル、合弁当事者間の紛争、会社の解散・清算手続のサポート等
(3)取引法分野
2021年1月1日に「民法典」が施行され、民事関係の法制度が一応完成したこととなります。取引ルールについても、今後、関連する司法解釈が整備され、実務上の事例が積み重ねられることにより、より明確になってくるものと思われます。
<取扱業務の例>
- 中国ビジネスに関わる各種契約文書の作成、レビュー
(4)競争法分野
日本の独禁法にあたる「反独占法」や、不正競争防止法にあたる「反不正当競争法」を中心に、カルテル、事業結合、市場支配的地位の濫用、不正競争行為の取締りがなされています。特に近年では、インターネット大手企業による独占的事業に対する取締りが強化されるなど、法執行面でも注目すべき事例が出てきています。
<取扱業務の例>
- 事業モデルや契約に対する競争法的観点からの審査
- 事業結合に関する申請手続きのサポート
(5)知的財産法分野
近年では、中国企業による特許、実用新案、意匠、商標の出願や国際出願が急増しており、「模倣品大国」から「知財大国」への変貌を遂げつつあります。「模倣品」事例も依然として多数発生しているものの、放置されてきた以前とは異なり、政府当局も摘発に力を入れてきています。外資企業の権利が保護されることも増えた一方で、中国企業から外資企業が権利侵害で訴えられるケースも増えております。
<取扱業務の例>
- 中国における模倣品対策
- 知的財産権侵害に関する紛争解決のサポート
(6)労働法分野
「労働法」、「労働契約法」といった法律が整備され、賃金、労働時間、解雇等について、注意すべきルールが多く定められています。労働者の権利意識も概ね高く、労働紛争が多く発生しています。
<取扱業務の例>
- 労働契約、就業規則、各種労務関連規程の作成、レビュー
- 労働紛争解決のサポート
(7)通商法分野
中国も日本と同様WTO加盟国であり、中国政府が日本企業を対象としてアンチダンピング、相殺関税、セーフガード等の貿易救済措置をとることがあります。その場合にできる限り低い関税率を獲得するためには、応訴等の活動を行うことが必要となります。
<取扱業務の例>
- アンチダンピング応訴(過去多くの案件において依頼者のために通常基準よりも低いダンピングマージンを獲得した豊富な実績があります)(中国アンチダンピング)
(8)コンプライアンス
中国では、刑法、不正競争防止法により、公務員に対する賄賂のみならず非公務員に対する利益提供も場合によっては違法とされるなど日本法の扱いと異なる点があり、実務上留意すべき事項も多岐にわたります。また、社内の管理体制が不十分であることに起因する不正事件の発生も少なくありません。
<取扱業務の例>
- 贈収賄事例に関するアドバイス、コンプライアンスに関する社内規程の作成、レビュー
- 社内不正事件に対する調査やそのサポート
(9)データ移転規制、個人情報保護
「ネットワーク安全法」、「データ安全法」、「個人情報保護法」といった基本法に基づき、近年、重要データや個人情報の管理に関する規制が強化されてきており、巨額の罰金が課された事例も発生しております。とりわけ、重要データや個人情報を中国国外に移転することについて厳格なルールが構築されつつあり、中国市場の顧客管理や企業グループ間での個人情報のやり取りなどにおいて、対策が求められています。
<取扱業務の例>
- データ移転規制、個人情報保護に関する最新の法令情報に基づくアドバイス、契約文書のレビュー
- 情報越境移転の安全審査実施に関するサポート
この業務分野を取り扱う弁護士
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