パートナー・アソシエイト座談会

パートナー・アソシエイト座談会

座談会参加者

岡田美香(51期/パートナー)鹿倉佑太(73期/アソシエイト)

岡田美香(51期/パートナー)

M&A、事業提携などのプロジェクト案件に加え、ベンチャー企業等を含めた顧問先企業のコーポレート案件に携わっている。スーパーローテーションシステムでは、企業法務(コーポレート)クールの指導担当を務める。

鹿倉佑太(73期/アソシエイト)

企業間の紛争案件(不動産関連紛争等)を中心に、企業の日常的な支援(知財案件等)に携わっている。

並河宏郷(55期/パートナー)大石美紗子(73期/アソシエイト)

並河宏郷(55期/パートナー)

倒産案件と企業間の紛争案件を中心に、国内外のインフラ建設、IT関連、企業提携等の案件に携わっている。スーパーローテーションシステムでは、訴訟・倒産クールの指導担当を務める。

大石美紗子(73期/アソシエイト)

企業間の紛争案件(国際仲裁を含む)を中心に、労務案件(紛争及びコーポレート)等にも携わっている。

スーパーローテーションシステム(SRS)の運用

新人アソシエイトのための育成制度。主要な業務分野を「金融」「企業法務(コーポレート)」「訴訟・倒産」の3つのカテゴリーに分類し、新人アソシエイトは各業務分野を専門とするパートナーの指導の下で一定期間ずつ実務経験を積む。
スーパーローテーションシステム

鹿倉
私は、企業法務(コーポーレート)のクールの指導を岡田先生に担当してもらいました。
岡田
そうですね。スーパーローテーションシステムの各クールの指導担当については、本人がどういう分野の業務を希望しているかを重視して決めています。例えば企業法務の分野でも、M&A、一般的な企業の法律相談対応、ベンチャー企業支援など色々あるので、どういう種類の業務をやりたいのかについてヒアリングして、なるべくその希望に合う案件に多く携わっている弁護士を指導担当にするようにしています。また、新人弁護士の育成に関心があり、適切な指導ができるパートナーが担当するようにしていますね。
鹿倉
クールの最初にも、岡田先生と1対1でのミーティングがありましたね。
岡田
最初に、鹿倉先生がどのような業務に関心があるのか、私がどのような案件が多いのかといったことについて打合せをしました。
鹿倉
どういう案件を中心にやっていくと良いかについて打合せをしていただきました。その中で、私自身は知的財産が関係する案件にも関心があったので、それも話しました。
岡田
クール中に一番時間をかけて関与してもらい、今も鹿倉先生に担当してもらっているキャラクターを使った新規事業立ち上げの案件があるのですが、この案件は、鹿倉先生が知的財産関係に興味を持っていると聞いて、ちょうど良いと思い担当してもらうことにしました。
大石
私は、訴訟・倒産クールの指導担当が並河先生でした。やはり最初に1対1でのミーティングをして、そのときに英語を使う案件に興味があることなどを伝えたと思います。
並河
そうですね。大石先生の場合は英語ができるので、特に英語を使う紛争案件があれば一緒に対応してもらうようにしました。
大石
プロバイダ責任制限法(※)に基づく開示請求、仮処分の案件や、比較的規模の大きな投資関係の訴訟、並河先生が破産管財人を務めていた案件の破産者の方との面談等がありました。
※「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」の通称
並河
訴訟・倒産クールなので、訴訟・倒産関連の案件をできるだけ担当していただきたいなというのは意識していました。比較的規模が小さな、全体を見ることができる案件と、投資関係訴訟のような複数の弁護士で対応する規模の大きな案件と、両方経験していただくと良いのではないかと思っていました。

スーパーローテーションシステム(SRS)中の新人アソシエイトの業務や役割

大石
訴訟・倒産クールで私が担当した役割としては、訴訟案件では訴状や答弁書、申立書などを起案したり、法的論点についてのリサーチメモを作成したりといったことでした。
並河
規模の大きな訴訟や、仮処分の申立側などの至急の対応が必要な案件のときは、他のアソシエイトも入っていましたが、基本的には、私と大石先生の2人で対応して、まずは大石先生に書面の第一案を作ってもらうことが多かったですね。
大石
はい。過去の事例やサンプルがある場合には、それを参考にしながら作成しました。初めての案件の書面を書くときは、どういう方向性で、どこを強調してほしいのかとか、今回の肝は何なのかというのを細かく最初に会議で説明してくださるので、とても取り組みやすかったです。でも、入所後すぐは経験もなくて、急ぎの案件などでは、一緒に案件を担当した先輩アソシエイトの先生が助けてくれました。
岡田
企業法務(コーポーレート)のクールについても、まずはリサーチからお願いしたり、契約書の作成作業も、ある程度参考になる契約書があるものからお願いするという感じですね。
鹿倉
最初は本当に何の知識もないところからのスタートだったのですが、類似案件の契約書とか、この条文のここが参考になりますみたいなものをピックアップしていただけたので。そこから上手く梯子を降ろすような形で作っていくイメージでできたので、その辺りはあまり抵抗感がなくできました。
岡田
なるべく手を動かすことが経験値になるので、実際に自分でメモや契約書を作るという作業を、早めにたくさんやってもらうようにはしましたね。
鹿倉
最初の頃は全くできなかったのですが、同じような案件を担当する中で、だんだん慣れていくというか、徐々に方向性が見えてくるということはありました。

スーパーローテーションシステム(SRS)中の指導担当パートナーとの関わり

鹿倉
岡田先生との打合せは、頻繁にやっていました。依頼者とのオンラインでの打合せが終わった後に、そのまま案件の方向性についてお話しする流れなどで、別件についてのフィードバックもしてもらうという感じです。
岡田
Teamsのチャットで声をかけてから、オンライン通話で話すこともありますよね。
鹿倉
チャットも使っていますね。私からチャットで打合せをお願いすると、すぐに岡田先生からオンライン通話で連絡があるという感じで。
岡田
EメールやWordファイル上でのコメントなどで、よい点や修正点などについてフィードバックすることも多かったです。ただ、コロナ禍でオンラインでの作業が増えた時期ということもあり、油断するとずっと直接の会話がないということになりかねないので、直接話をしながら打合せをする機会を、意識して作るようにしていました。
鹿倉
今でも覚えているのは、結構大変な契約書の作成の作業が終わった時のことですね。岡田先生から「筋は良いですよ」という一言をいただけたのは、心の支えになっているかなと思います(笑)。
大石
私は、個別に質問したいことがあるときには、並河先生の執務スペースに直接行くことも多いです。気さくに対応してくださいますし、意外と気軽に行ってしまいます。
並河
そうですね(笑)。あとは、作業の方向性の検討など、各自のPCの画面で資料を一緒に見ながら話したほうが効率が良いものについては、オンラインで打合せをすることが最近は増えましたね。あと、SRS期間中は、説明やコメントは意識的に細かくしていました。年次が上がってくると徐々に細かいコメントは減っていくのですが、新人アソシエイトとの関係では、そこへの意識は大分違いますね。
大石
並河先生は、何か作業が終わったときや、提出した答弁書や準備書面について細かくコメントしてくれて、評価をひと言つけてくださいますし、大量な証拠の提出作業の後などには、「大変な作業をありがとうございました。」といった労いのメールをくださるので、ありがたいなと思っています。
並河
大石先生は、書面作成の際に自分である程度判断してやってくれますし、悩む点などについては書面上で所内向けのコメントを残してくれるので、こちらもすごく検討しやすいです。

スーパーローテーションシステム(SRS)終了後の業務やパートナーとの関係

並河
パートナーや他のアソシエイトと食事に行ったりすることはありますか。
鹿倉
私は、ちょうどこの前岡田先生と…
岡田
クライアントとの会食に一緒に行きましたね。
鹿倉
はい(笑)。そういう場だと、フラットに他の先生がこれまでどういう仕事をしてきたかとか、どうして今の業務に興味を持ったのかといった背景などを聞くことができるのでいいなと思います。
大石
私も、SRS終了時に並河先生にご飯に連れて行っていただきました。他の指導担当の先生にも誘っていただいて、食事に一緒に行っています。やっぱり、一緒に食事に行ったりすると、話しやすくなったり、気兼ねなく相談もしやすくなると思います。
並河
そういう良い面はありますよね。ところで、大石先生は、SRSが終了して、今はどのような業務が多いですか。
大石
もともと訴訟に興味があったということもあって、紛争案件が9割くらいです。あとの1割くらいは契約書の作成・確認等のコーポレート関係の業務という感じです。並河先生のほか、スーパーローテーションシステム中に指導担当だった別の先生や、案件をご一緒した先生と今も一緒に仕事をすることが多いです。
並河
どのような案件がありますか。
大石
今一番時間をかけているのは、国際仲裁の案件ですね。論点が多いので、複数の弁護士でチームを組んで、それぞれ担当のテーマを持つという形で進めています。私も担当しているテーマがあって、その点については第一案を作成するのですが、英語で作成する必要があるので時間がかかってしまいます。でも、自分が沢山考え悩みながら作ったドラフトが、依頼者との打合せや先輩弁護士との検討を経て、より充実した内容になって提出されるのを見ると弁護士として案件に携わっていることを実感します。そのほかにも、コーポレート関係の仕事にも関与したいので、他の先生にお願いして契約書の作成業務なども担当させてもらうようにしています。
鹿倉
私は、引き続き岡田先生とコーポレート関係の案件に携わっています。あとは、訴訟関係の案件が多いですね。
岡田
長く担当してもらっている依頼者は、鹿倉先生との信頼関係も徐々に深まり、窓口のような形で依頼者と直接やり取りしてもらう機会も増えていますね。
鹿倉
そうですね。あとは、知的財産関係に興味があるということを岡田先生にお話しした関係で、岡田先生からそういった分野を中心に扱っている他の先生を紹介してもらって、その先生と一緒に知的財産関係の訴訟もやっています。こういった形で、徐々に興味や関心のある分野に広げていきたいと思っています。
鹿倉佑太 岡田美香 大石美紗子 並河宏郷