オープン・イノベーション
法律用語集

オープン・イノベーション

読み方
おーぷんいのべーしょん
業務分野

最近、企業の技術開発戦略との関係でオープン・イノベーションという言葉を耳にすることがある。言葉の語源はカリフォルニア大学バークレー校のオープン・イノベーション・センターのチェスブロー教授の提案したものとのことである。対比されるクローズド・イノベーションが一つの大企業の内部で研究開発、事業化のすべてを行う形での技術開発であるのに対し、オープン・イノベーションは大企業がベンチャー企業や大学のような外部の組織の知能を活用して技術開発を進めるやり方で、そのため外部の組織との間に知的財産権のライセンスなどが必要になる。政府の知的財産戦略本部が進める知的財産推進計画でも、オープン・イノベーションに対応した知的財産制度を構築すると述べている。

しかし、このような発想は大企業にとっての都合に基づくもので、従来は大企業が自らすべてのリスクをとって技術開発していたのに対し、大企業の技術開発に対するリスクを分散させようとする仕組みである。しかし、オープン・イノベーションにおいても、新しい技術を開発するのは個人の創造力であり、創造力を有する個人がどのような組織形態でもっとも創造性を発揮し、それをうまく事業化できるかが最も重要である。アメリカにおけるオープン・イノベーションの考えは、その答えがベンチャー・中小企業にあることを示している。大企業から見れば、いかにうまくベンチャー・中小企業を自社の技術開発に取り込んでいくかという問題であるが、実際に創造性を発揮して技術開発を行う個人からみれば、ベンチャー・中小企業を成功させることが一番重要である。わが国において必要なのは、ベンチャー・中小企業を成功させるためのインフラの整備である。

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