カスタマーハラスメント
- 読み方
- かすたまーはらすめんと
- 業務分野
1 カスタマーハラスメントとは
(1)カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」という。)は、次のように定義されている。
【カスハラの定義】
①職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の事業主の行う事業に関係を有する者(以下「顧客等」という。)の言動であって、
②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、
③当該労働者の就業環境が害されるもの
(2)上記の定義は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(令和7年6月11日公布、令和8年10月1日施行。以下「改正労働施策総合推進法」という。)第33条第1項に規定されている。
従前、カスハラにつき、法令上は明確に定義されていなかったが、ハラスメント対策の強化を目的として、改正労働施策総合推進法において定義規定が設けられた。
2 カスハラの定義の文言の具体的な意味
(1)①「顧客の言動」
事業主が販売する商品の購入やサービスの利用をする者、事業主の行う事業に関する内容等に関し問い合わせをする者、取引先の担当者等による言動のこと。
(2)②「社会通念上許容される範囲を超えたもの」
ア 社会通念に照らし、当該顧客等の言動の内容が契約内容から相当性を欠くもの、又は手段や態様が相当でないもののこと。
イ 言動の内容が契約内容から相当性を欠くものの例として、要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求をすること、契約により想定しているサービスを著しく超える要求をすること等が挙げられる。
また、手段や態様が相当でないものの例として、労働者に対する暴力行為、大声で執拗に労働者を責め立て人格攻撃をすること、暴言や土下座の強要、威圧的な言動、労働者を長時間拘束すること(不退去、居座り、監禁)等が挙げられる。
ウ 社会通念上許容される範囲を超えたか否かの判断には、当該顧客等の言動の目的や経緯、労働者の属性や心身状況など、総合的に考慮されるため、言動の内容又は手段の態様の両方が該当する場合だけでなく、一方のみが社会通念上許容される範囲を超える場合であっても該当し得る。
(3)③「労働者の就業環境が害されるもの」
上記言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。
※出典:厚生労働省作成のリーフレット(詳細版)「2026年(令和8年)10月1日から、 カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」
3 カスハラへの対応
(1)組織的に対応することの重要性
カスハラは、当該顧客等に対応する労働者の業務及び心身への負担に加えて、企業ブランドイメージの低下や他の顧客の利用環境の悪化が招かれるなど、広範囲に影響が及ぶ。
労働者の心身の安全確保と企業の持続可能な発展のためにも、事業者は対応マニュアルの策定や研修、労働者へのメンタルヘルス相談の実施及びその機会の確保が求められる。
カスハラの判断基準は見極めが難しく、業種・企業ごとに違いが生じるため、各社内で予め判断基準及び対応方針を統一し、現場と共有することが大切である。
(2)弁護士との連携の重要性
カスハラに対しては、弁護士と連携した対応をとることも効果的である。
弁護士が代理人として関与しカスハラ対応窓口を一本化することで、それまでカスハラ対応をしていた労働者を本来業務に専念させることや心身の負担を軽減することができ、顧客等と労働者の間の感情的な対立をそれ以上悪化させることなく、対話による解決(示談交渉、裁判外の和解)をすることも可能となる。
さらに、民事調停手続や民事訴訟手続を利用し、裁判官、調停委員等の中立的第三者による調整を経て、調停の成立、訴訟上の和解の成立、判決等による終局的解決を図ることが可能となり、解決方法の選択肢が広がる。
※2026年5月時点の情報を基に作成しております。
(弁護士 田中秀幸 /2026年5月20日更新)
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