デリバティブ取引は、その取引形態によって、取引所を通じて取引される市場デリバティブ取引(例:大阪取引所の債券先物取引、TOPIX先物取引、東証REIT指数オプション取引など)と、取引所を介さずに当事者が相対で取引するOTC(店頭)デリバティブ取引があります。市場デリバティブ取引はルールが整備された市場(取引所)を通じて行われるため、これに起因して紛争が起こった場合などを除けば、実はあまり弁護士が腕を振るう機会がありません。これに対して、OTCデリバティブ取引は当事者間の契約そのものですから、契約書の内容が極めて重要となり、法務担当者や弁護士がどれだけ取引の内容を理解しているか、どれだけデリバティブ取引のドキュメンテーションに精通しているかが問われることになります。このドキュメンテーションについては、ISDAが公表している標準契約書(ISDA Master Agreementやデリバティブ取引特有の担保契約であるCredit Support Annex(CSA))および各種取引ごとの定義集、さらにその他のISDA関連文書(これらを一括して、以下では「ISDA契約書等」と呼びます。)の理解が不可欠です。