欧州法の地理的適用範囲とEEA
法律用語集

欧州法の地理的適用範囲とEEA

読み方
おうしゅうほうのちりてきてきようはんいといーいーえー
業務分野

欧州法には流通法や競争法等多くの分野で独特のルールが多く、中には特約をもってしても排除できない強行的に適用されるルールも少なくない。独仏伊にベネルクス3国を加えた僅か6カ国でスタートした欧州経済共同体は、2007年には旧東欧諸国も糾合した欧州連合27カ国に成長し、巨大な法域を形成するに至っている。欧州法が適用される国々の大半はEU加盟国だが、それに限られない。加盟国の国家主権に対して課される制約(EU加盟国の主権的権利を欧州連合に一部委譲する加盟国憲法の規定を欧州条項という)から加盟に踏み切るには躊躇があるが、統一市場の恩恵を受けたいと考える国々もある。具体的には欧州自由貿易連合EFTAとEU側の間で1994年1月1日に発効した欧州経済領域(または地域)European Economic Area協定がそれだ。その要諦はEU法の立法過程には原則として参加しないが、欧州法(ここでは制定法・欧州司法裁判所ECJの判例等これまでに集積された一連の法体系アキ・コミュノテールacquis communautaireを広く指す)の適用は原則として受けるという、現代の条約としては異例な片面的構造にある。欧州法上の規則・指令等を公告するEUの官報に「with EEA relevance」とあるのはその意味だ。もっとも、EEA発効当時のEFTA加盟国の中の大国だったオーストリア・スウェーデン・フィンランドの3国は、その翌年にはEUに正式加盟してこの枠組みからいわば卒業してしまった。しかもスイスはEEAに参加しなかったため、EFTA側で現在EEAに参加しているのはノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタインのみとなった。独立意識の旺盛なスイスはEUにもEEAにも加盟していないが、このことはスイスのみが孤高を守って全く異質のルールを奉じていることを意味するのではない。四囲を独仏伊墺のEU加盟諸国に囲まれ、経済や人の生活がこれらと密接に関連する以上は当然で、例えばいわゆる代理店保護法制に関しても、スイスではEUにおけるものと類似のコンセプトの判例法が集積している。

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