椅子式マッサージ機事件
判例紹介

椅子式マッサージ機事件

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東京地裁 平成15年3月26日判決

ふくらはぎを両側から空気袋で挟み揉みする椅子式マッサージ機の発明について、訴え提起後に一方の空気袋をウレタンチップで置換して設計変更した被告製品について均等論による侵害を認め、合計で約15億4000万円の損害を認定した判決である。

東京高裁 平成16年3月23日判決

ふくらはぎを空気袋で挟み揉みする椅子式マッサージ機の基本発明について、硬い球状の指圧頭でふくらはぎを指圧する装置の特許公開公報とマッサージ椅子と題する意匠公報の組み合わせで容易推考されるとして、特許を無効とした判決。ふくらはぎを空気袋で挟み揉みする公知技術は存在しないが、空気袋の使用は周知と認定され、ふくらはぎを空気袋で挟み揉みすることも容易とされた。マッサージ機の分野で空気袋を使用した商品は本件発明前になかったが、空気袋による両側からの挟み揉みとはまったく別態様の空気袋を使用した特許出願文献が存在したことを根拠に、空気袋の使用自体が周知技術と認定されたものである。侵害事件で高額の損害賠償が認められた特許がその後無効とされたケースが多いが、本件もその1例である。発明の進歩性を判断する特許庁・裁判所は「後知恵」の影響を排除することに慎重な注意を払うべきであるが、この判決は、「後知恵」の影響が読み取れるものである。本件についての詳しい情報を「椅子式マッサージ機事件」(PDF)のファイルにまとめてあるので、関心のある方は参照してください。

知財高裁 平成18年9月25日判決

上記の一連の審決取消事件判決によって、原告・被控訴人が権利主張した5件の特許のうち基本的特許を含む4件の特許が無効とされたために、残った1件の特許について有効・侵害(均等による侵害を含む)を認め、約1100万円の損害を認定した。特許法102条1項但書の様々な事情の適用によって、侵害品の販売数量の99%は権利者が販売し得なかったと認定した。又、102条1項但書によって控除された数量分について102条3項を適用することはできないと裁判所がはじめて判示した。

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