「切り餅」事件控訴審終局判決
判例紹介

「切り餅」事件控訴審終局判決

執筆者
人見友美 
業務分野

本件「切り餅」事件で、知財高裁は、平成23年9月7日に、第一審の非侵害判決を取り消し、被告製品が本件特許を侵害すること、本件特許は無効にされるべきとは認められないことを内容とする、中間判決を行っていた。原告(控訴人)はその後再開された手続で、第一審手続中に発生した損害額を追加して、損害賠償請求額を59億円余りとした。被告(被控訴人)は、同年12月26日付で多数の書証と共に、先使用の抗弁などの主張を行った。損害額の算定は特許法102条2項に基づいて行われ、裁判所は、被告製品の販売額については被告の主張立証を採用して約162億円を認定し、被告の利益率については被告の損益計算書に基づいて、少なくとも原告が主張する30%を下回らないと認定し、さらに、被告製品による利益に対する本件特許の寄与度を15%と認定し、約7億3000万円の損害額を認定した。これに弁護士・弁理士費用の損害金として約7000万円を認定し、合計約8億円の損害賠償及び差し止めを被告に命じた。なお、中間判決後の先使用の抗弁等の提出について、裁判所は、被告の重大な過失による時機に後れて提出された防御方法に当たり、訴訟の完結を遅延させると判断し、被告の追加提出した防御方法を却下した。

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