実施可能要件とサポート要件
判例紹介

実施可能要件とサポート要件

執筆者
鷹見雅和 
業務分野

本件特許(特許第3973280号)について無効審判請求が起こされ、特許庁は、請求項1のピオグリタゾンとピグアナイド剤を組み合わせた糖尿病治療医薬の発明について実施可能性およびサポート要件を認めずに請求項1の発明につき特許を無効とし、請求項7の所定用量のピオグリタゾンとグリメピリドの組み合わせによる糖尿病治療医薬の発明については実施可能性およびサポート要件を認め、請求は成り立たないとの審決をした。これらの請求項の構成要件の組み合わせは、明細書に実施例として記載されていない。これに対して、双方が敗訴部分の取消しを求めて審決取消訴訟を提起した。知財高裁は、請求項1について実施可能性を否定した審決の理由はサポート要件についての判断で、実施可能性の判断ではないとし、いずれの請求項についても明細書の実施可能性を認めた。サポート要件については、平成17年11月11日知財高裁大合議のパラメータ特許事件判決と同様に、特許請求の範囲に記載された発明が本件明細書に記載されているか,当該記載又は出願時の技術常識により当業者が本件各発明の上記課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否かについての検討を行い、いずれの請求項についても明細書のサポート要件が満たされていると判断した。

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